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未来教室第6回  “人に伝わる文章の書き方、コツ & 修了”  ~フリーライター 国富由紀さん~2021.12.03 Update

未来教室第6回  “人に伝わる文章の書き方、コツ & 修了”  ~フリーライター 国富由紀さん~

ゲストスピーカー

フリーライター 国富由紀さん

活動内容

第2期生(12名)の最終回となる未来教室を12月3日(金)に行いました!
最後となる今回は、”アウトプット”がテーマ。中学生12名は、4月の第1回から今月まで普段出会うことのない人、聞くことのない話に心も頭も変化をしてきました。未来教室の5箇条には”変化を楽しもう”と言う言葉があります。自分に足りないものは何かを考え、スケッチブックに書いた4月。そこからの変化は12名それぞれに様々なものがあったと思います。その様子は、毎回の未来教室での発言にもレポートにも表れていました。人前で自分の気持ち、考えをしっかりと話すことができるようになった、誰かのことを思う気持ちが強くなった、SDGsの表面的な理解ではなく、周囲への理解と自身への向き合い方を知った、かっこいい生き方を自信をもって目指すことを決めた。12人それぞれの変化と成長がありました。最終回はそのアウトプットとして、最初に未来講師の国富さんから人に伝わる文章の書き方を教わり、それをもとにアウトプットの文章を作り、みんなに向けて伝えるということを行いました。
当日の詳細な内容は以下をご覧ください^^

内容

今回の未来教室のプログラムは以下の通りでした。

1.オープニング
2.ゲストトーク(国富さん)
3.質問セッション
4.フリーライティング
5.発表、フィードバック

今回のオープニングでは、未来教室の五か条を確認し、全6回のまとめをするアウトプットの場であることを確認。

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4月から12月の8か月間、未来教室の中、それ以外の場所で、一人一人が変化してきました。
第6回未来教室は、その変化を他の中学生や未来教室スタッフなどに披露する場でした。

今回の目標は以下の3つです。

・グループで実現したい10年後の世界を話し合って決める
・仲間と発表を行い、みんなに伝える
・個々で未来教室をふりかえり、今の気持ち、考えを整理しみんなに伝える

第6回の目標で今までと違ったのは、「個々で」という言葉が出てきたことです。
第5回までは「グループで」「他の人の言葉を聴く」など、自分以外に目を向ける目標でした。
しかし第6回は、個々でふりかえり、自分自身と向き合うことを目標にしてあるのです。

ゲストトーク

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今回の未来講師は、フリーライターの国富由紀さんです。
国富さんは、第2期未来教室で、中学生が書いたレポートに毎回フィードバックをしてくれていました。
文章でやりとりをしていた中学生と国富さんが、今回の未来教室で初めて顔を合わせたのです。

・国富さんについて

国富さんは、20代のころ、グラフィックデザイナーとして仕事をする中で、文字や文章を扱う仕事に目覚めたそうです。
そして、2009年ごろからライティングに専念しました。
仕事の勉強はしていたけれど、自分の知りたいことを勉強することは経験がなく、知りたいことが数珠つなぎに出てきても勉強の仕方がわからなかった。
学びを深めることが自分でもよくわかっていなかった」と、国富さんは話します。
そこで、勉強の仕方を学ぼうと、2021年10月、文学部日本文学科の通信教育課程へ入学した国富さん。大学生になったのです。
この話には、スタッフ、中学生がマスク越しでも分かるほどの驚きの表情を浮かべました。

・ライターってどんな仕事?

国富さんの職業はフリーライターですが、「ライター」とはどのような仕事なのでしょうか。
国富さんは、ライターとジャーナリストを比較して仕事について説明してくれました。

ライター:クライアントからの要望に沿った記事を書く
ジャーナリスト:特定分野の知識や、独自の観点を活かした専門的な記事を書く

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ライターの仕事をする上で、血の通った仕事をすることを信条にしている国富さん。
web上で完結する仕事ではなく、住んでいるまちで役に立てる仕事をしたいと思う、と話します。

また、国富さんの好きな言葉で、仕事をする上で肝に銘じているものがあるそうです。

「昨日の会話は消えてしまうが、昨日の文字は眼前に残っている」
(池澤夏樹『日本語のために』より)

人が会って話したことを綴ってみると、頭の中で思い出して考えるので、無意識のうちに私たちは編集作業を行なっているのです。
その点では、昨日の会話はそのまま残ることがありません。
しかし、文章を書くことになると話は変わります。
文章を書くときにも頭の中で編集を行ないますが、これは、会話を思い出すときの編集作業とは少し違い、思考の変換作業になっているのです。
編集=思考の変換作業を行なって作られた文章は、形を変えることなく、時間が経っても残っています。
だから、「昨日の文字は眼前に残っている」のです。

・伝わる文章ってどんな文章?

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①「文章に正解はありません」
文章には、正しい答えと、本当の答えがある、と国富さん。
「この言葉についてどう思いますか?」と、国富さんから投げかけられた質問に対して、中学生一人一人が考えたことは以下のような内容でした。

「正しい」:模範回答。世の中の当たり前。
「本当」:自分が考えたこと。一人一人の答え。

文章を書くときには、「正しい」は建前で、「本当」は本音なのです。
本音は身近なことで主語を小さく、建前は社会のことで主語を大きくして自分の考えを述べるようにすると、面白い作文が書けます。
このことを、「たこ焼きの作文」を用いて説明してくれました。

文章は長ければいいというわけではありません。
また、主語が大きいと書きにくくなります。
そのため、主語が大きなテーマのとき(例:SDGs、地球温暖化など)は、身近な話題から大きな結論に持っていくと伝わりやすくなるのです。

②「視点を変えよう」
伝わる文章のためには、視点を変えることが大事だそうです。
文章を書くときも、以下のように視点を変えると作文がぐっと楽しく、書きやすくなります。

伝わる文章→「伝える」文章
伝える→誰に
目的が「提出」→読む人の顔を思い浮かべる

「伝わる」では、作文を書いておけば誰かがなんとかしてくれると思ってしまいます。
「伝える」だと、自分が誰かに話すことになるのです。
読む人がいるということを忘れないようにすれば、自ずと伝える文章になります。

③推敲をしよう
推敲とは、書いたものを見直すことです。
誰かに読んでもらいたいものを書きあげたら、一度くらいは読み返してほしい、と国富さん。
ここでは、第4回未来教室の中学生のレポートを例に、推敲をするとさらに読みやすい文章になることを説明してくれました。

質問セッション

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以下は、事前に送られた中学生からの質問と、それに対する国富さんの答えの一部です。
ゲストトークのときに国富さんから話があった「正しい答え」と「本当の答え」に分けて、答えてくれています。

Q.本などをなぜ読む必要があるのか知りたいです。
A.
〈正しい答え〉読むべき。
周りにある事象は知っていることか知らないことかで分けられる。知っていることであれば会話が弾むが、知らないことだったらそこで会話が終わってしまう。また、大人になってから本の意味が分かることもある。だから、活字の本でなくてもいいので読んでみるといい
〈本当の答え〉読みたくないなら読まなくていいと思う。

Q.作文が嫌いなので、好きになれる方法を知りたいです。
A.
〈正しい答え〉好きになりたいのなら、読んでくれる人の顔を思い浮かべてみよう。大好きな人や、大好きなことについての作文を書いてみよう。また、好きなものを、読んでほしい人のために、手紙のように書いてみよう。
〈本当の答え〉好きになる必要はないと思う。

Q.高校入試の面接の自己PRを考えなければいけないが、思いつかない。
A.部活動などの戦績がある場合は、戦績の話だけをするのではなく、その結果を得るまでにどんな努力をして、どんな苦労があったか、そこにたどりついて思ったことを書けばいい。何も浮かばなければ、好きなことや、見えているものについて書いてみよう。その中に、自分のPRに繋がるものや、もっと大きな話題に繋がるものが隠れているかもしれない

フリーライティング

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国富さんからゲストトークや質問セッションの中で聞いたことを実践する機会として、また、全6回の未来教室を振り返り、自分の考えをアウトプットする場として、フリーライティングを行ないました。
テーマは「未来教室に参加しての私の感想」です。
レポートを書き、それをみんなの前で発表することが目標となっています。

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ライティング中には、スタッフや国富さんがグループをまわりながら、中学生の考えを言葉にする手助けをしました。
筆者もその中に入って中学生数人と話しましたが、話すことで初めて気づくこともあります。

自分の書くものに自信を持てない中学生、考えがとても綺麗にまとまっているのに「うまく文章にできない」と話す中学生。
みんなに共通していたのは、話していることをそのまま文章にしてもいいくらいに、自分の考えを話すのがとても上手だった、ということです。
自分の書く文章に、もっと自信を持っていいんだよ!と、何度も話しました。

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そして、一人一人がマイクを持って発表します。
文章やイラストなど、自分の好きな方法で未来教室に参加した感想を他の参加者やスタッフに発表しました。

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発表の前には、みんなが話したことは、帰ってから他の人と話したりせず、自分の心の中に置いておこうね、と前置きがありました。

一人一人の発表の内容は、参加していた人達の心の中に置いておきます。
中学生の成長には、アスエコスタッフ、大学生スタッフ、オンラインで発表を見ていた過去の未来講師も大いに驚き、感動しました。
4月に行われた第1回未来教室のときには、想像できなかった姿を見せてくれた中学生から、わたしたちスタッフもたくさんの気づきや学びを得たと思っています。

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中学生の発表を終えた後には、発表を見ていたスタッフや過去の未来講師、そして今回の未来講師からのフィードバックがありました。
その一部を紹介します。

石田さん(第2回未来講師)
・6月25日に会ってから約5か月、すごく成長している!
・一緒に講座を受けて友達もできただろう。落ち込んだり、元気がなかったりするときもあるかもしれないけど、そんなときは未来教室のメンバーを頼れば良いと思うよ!

浅野さん(第4回未来講師)
・自分が行った後の2回を経てさらにみんなが成長している!とにやにやした
・未来教室にかかわって自分もいろんなことを教えてもらい、幸せを感じている
・つながりって、SDGsだと思う

かっしー先生
・中学生みんなの成長を見られて嬉しい
・変化していく中で、自分のことを諦めないでほしい
・壁があったら、いつでも周りに頼っていけばいい

てっちゃん先生
・未来教室やってよかった!!
・「これは世界を変える一歩なんじゃないか?」と、未来教室をやっていて強い手ごたえを感じる
・未来教室で得た知識、経験、繋がりは一生ものだと思う。この先を広げていくのは一人一人

その後、修了証と記念品を受け取り、第2期未来教室は幕を閉じました。

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最後に

第2期未来教室は全てのプログラムを終了しました。
第1回の日、中学生はいったいどんな姿を見せてくれるのだろう、と思っていましたが、終わってみれば、周りの人が思っていた以上の成長を一人一人が見せてくれたと思っています。

第5回の後には「少し学校を休みがちだったが、未来講師の田渕さんと話してから、1日も休まずに学校に行けている」という中学生からの報告があったと聞きました。
未来教室が、中学生の経験に、力に、たしかになっていたのです。

その姿には、感動したし、勇気をもらったし、中学生のことを、かっこいい、と思った。
筆者自身、明日からも頑張らなければ、と中学生に元気をもらいました。

これから先、中学生のみんなとどこかで会えることがあれば、そのときがとても楽しみです。

余談ですが、筆者は普段中学生のみんなと話すことはあまりありませんでしたが、中学生の多く(ほとんど?)がこのレポートを読んでくれていると知りとても嬉しかったです。この場を借りてお礼を言わせていただきます。本当にありがとう!!

アスエコ未来教室は、2021年に第3期を予定しています。
順次情報が公開されますので、詳細はアスエコ未来教室のホームページでご確認ください。